平成29年度神田祭特設サイト

平成29年神田祭特設サイト

巴 宮司挨拶 ご創建千三百年に向けて


だいこくさま

前回の平成二十七年に斎行された神田祭は、ご遷座四百年奉祝大祭として氏子中が喜びを共にしながら盛大に執り行われました。そして本年の神田祭は、神社にとりまして更に大きな節目となるご創建千三百年(平成四十一年)を迎えるための長期事業計画が始動する節目の神田祭となります。

神社は不変の存在であるとお考えの方も多いと思いますが、神田神社は常に大きく変化を繰り返しながら古い伝統をしっかりと受け継いできました。例えば、関東大震災後によって江戸時代の木造建築の社殿を失った後、当時としては画期的な日本初の鉄骨鉄筋構造に漆塗りの社殿を建立しました。現在も聳えている美しい社殿は、「神社は木造建築であるべき」という強い意見を説き伏せて、敢えて斬新な構造で施工されたものです。そのお蔭で、東京大空襲の焼夷弾による爆撃で神田界隈は焼土と化しましたが、神田神社は鉄骨鉄筋という不燃構造であったがゆえに延焼を免れて社殿を守ることができました。

また神田祭においても伝統の山車祭りが途絶えた後、神輿を中心とした新しい祭礼により神田祭は姿を変えて再興されました。さらに近年は、江戸時代の附け祭も復興して、新旧の祭礼文化が併存しながら神田祭は盛大に斎行されています。こうした先人たちの事績は遺伝子として、新たなることに常に挑戦しながら伝統を守るという神田神社の文化を形成してきました。

本年の神田祭終了後、六月にはいよいよ文化交流館(仮称)の建設工事が着工されて、ご創建千三百年に向けての各種事業が始動してまいります。氏子崇敬者の皆さまには、どうか新しい時代に相応しい変化を加えながら神社の伝統を守るという神田神社のありかたに深いご理解を賜りますようお願い申し上げます。

本年の祭礼にも伝統を受け継ぎながら新しい趣向が加えられて、神田祭が更なる生成発展を遂げていくことを念じております。

大鳥居信史 神田神社宮司